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中小企業がAIでできることは何か

周りは「DXだ」「AIを入れないと遅れる」と言う。興味はあるけれど、そもそもAIで何ができるのかが分からない。だから動けない。

この状態でいちばん困るのは、判断のしようがないことです。何ができるか知らなければ、自社のどこに使えるかも決められません。

なので、この記事では抽象的な話は書きません。実際に中小企業の現場で自動化している業務を7つ、どの作業がどう変わるのかまで具体的に紹介します。動いている画面は実績・デモで見られます。読み終わったときに「うちのあの作業も同じでは」と1つでも思い当たれば、それが出発点になります。

実際に自動化している7つの業務

1. 経費精算

:交通費を1件ずつ入力する。領収書を集めて、貼って、綴じる。月末にまとめてやろうとして後回しになり、記憶があいまいになる。

自動化後:領収書を撮影すると、日付・金額・支払先が読み取られて台帳に入る。交通費も経路から自動で計算される。人がやるのは確認だけ。

小さい業務に見えますが、毎月必ず発生し、誰の得にもならず、それでも止められない仕事です。こういう業務は積み重なると相当な時間になります。請求書処理や入金の消し込みまで含めた話は経理のAI導入ガイドにまとめています。

2. 名刺管理と、その後のフォロー

これは「名刺の情報をデータ化する」だけの話ではありません。

:交換した名刺をアプリに入れる。しかし、いつ、どこで、何の目的で会った人なのかは記録に残らない。数か月後に見返しても、その人が誰だったか思い出せない。結果、何もせずに終わる。

自動化後:名刺の情報に加えて、いつ・どんな場面で・何の話をしたかを記録しておく。その内容に応じて、あとから自動でメールが送られるように設定する。展示会で会った人と、紹介で会った人では、送る内容もタイミングも変える。

接点が資産になるかどうかは、その後の連絡があるかどうかで決まります。 分かっていても手が回らないのがこの部分です。

3. 過去案件の管理と検索

設計事務所向けに作った例です。

:過去にやった案件の資料が、担当者ごと、年度ごとにばらばらに保管されている。似た案件を探したいとき、経験の長い人の記憶が頼りになる。その人がいなければ、探せない。

自動化後:過去案件を横断して検索できる。「この用途で、この規模で、こういう条件の案件」で引き出せる。新しく入った人でも過去の蓄積にアクセスできる。

これはその会社の一番の資産が、個人の記憶の中にしかない状態を解消する話です。業種を問わず起こります。

4. 入札・提案書づくり

:公告を読み、要件を整理し、関連情報を調べ、過去の提案を探し、体裁を整える。数日がかりで、しかも他の仕事が止まる。

自動化後:要件の整理と関連リサーチ、提案の骨子作成までを自動で行う。人は中身の判断と仕上げに集中する。

判断そのものを任せるのではなく、判断の前後の作業を任せるという考え方です。これがAI活用の基本の形になります。

5. 補助金・助成金の申請

:自社が使える制度を探すところから始まる。要件を読み解き、様式を揃え、事業内容を制度の言葉に翻訳して書く。手間がかかるので、結局申請しない。

自動化後:制度の要件と自社の状況を突き合わせて、該当する可能性のあるものを絞り込む。申請書の下書きまで作る。

やれば得られるはずのものを、手間だからと諦めている——これも中小企業では非常によくあります。

6. SNSの発信

:発信したほうがいいのは分かっている。でもネタを考え、文章を書き、画像を用意し、投稿する時間がない。数回やって止まる。

自動化後:何が読まれているかのリサーチ、記事や投稿の作成、各媒体に合わせた変換、投稿までを自動で回す。人は方針の決定と最終確認をする。

7. 社長の判断を、社員が引き出せるようにする

これが最も重要だと考えています。

:判断が必要になるたびに、社員が社長に聞きに来る。社長がいないと止まる。同じような質問が何度も来る。かといってマニュアルにしようとしても、「こういう場合はこうする」という判断は、書き出そうとすると膨大になり、しかも例外だらけで書ききれない。

結果、社長の頭の中にしかない状態が続きます。

自動化後:社長がこれまでどう判断してきたか、何を基準に決めているか、過去にどういう案件をどう処理したかを蓄積しておく。社員が質問すると、その蓄積から答えが返ってくる。社長が答えるのと同じ内容が、社長を待たずに得られる。

ここが従来のマニュアルと決定的に違う点です。マニュアルは「事前に読んで覚えておく」ことを前提にした道具ですが、これは「その場で聞く」ことができます。 新しく入った人に学習期間を用意できない会社でも、現場に立ったまま必要なことだけ引き出せる。

そして社長の側から見れば、自分にしかできないと思っていた仕事を、初めて手放せる形にできるということでもあります。

7つに共通していること

並べてみると、どれも同じ性質を持っています。

  • その人しかできない仕事(過去案件の記憶、営業先の状況、社長の判断基準)
  • 毎回発生して、面倒で、後回しになる仕事(経費、フォロー、発信)
  • やれば効果があると分かっているのに、手が回らない仕事(補助金申請、名刺のフォロー)

逆に言うと、AIは「判断」を代わりにやってくれるわけではありません。 判断の材料を揃える、記録する、探せるようにする、決めた通りに動かす。その部分を引き受けます。

見積もりの金額を決めるのは人です。しかし、そのために過去の似た案件を探して並べる作業は任せられます。

自社ではどこに使えるのか

「何ができるか」が分かったら、次は「うちのどこか」です。次の3つの質問を、自社の業務に当ててみてください。

  • その人が辞めたら止まる仕事はどれですか
  • 同じことを何度も聞かれている仕事はどれですか
  • 社長である自分が、まだ手放せていない仕事はどれですか

この3つに当てはまる業務が、たいてい一番詰まっているところです。共通点は、必要な情報が誰か一人の頭の中にしかないことです。自分では判断しにくい場合は、AI活用度診断で6つの質問に答えると、いまの状況と次にやるとよいことが分かります。

そして3つ目の「社長が手放せていない仕事」は、多くの場合、7番目に挙げた判断の共有で解けます。

私自身、製造業で100人規模の会社を12年経営していたとき、最後まで解けなかったのがここでした。営業は担当者に任せるしかなく、どの取引先がどういう状況なのか、その人以外には誰にも見えない。見えないから他の人が代われず、見えないから手放せない。

当時は解く手段がありませんでした。今は、ここに手が届きます。

よくある疑問

Q. うちのような小さい会社でも意味がありますか

むしろ人数が少ない会社のほうが効果が分かりやすいです。一人が複数の役割を持っているため、その人の手が空くことの影響が大きいからです。

Q. 専門知識がない社員でも使えますか

上に挙げた7つは、いずれも使う側に専門知識を求めない形で作っています。仕組みを作る段階には知識が要りますが、日常的に使う人には要りません。

Q. どのくらいの規模から始めるべきですか

業務を1つに絞って始めることを勧めます。全社まとめて入れると、効果があったのかどうかも、何が原因でうまくいかなかったのかも分からなくなります。どの業務から手をつけるかは、はじめてのAI導入ガイドに書き込みながら決められる形でまとめています。

Q. 費用はどのくらいかかりますか

何をどこまで自動化するかで大きく変わるため、一律の相場は提示できません。ただ、判断の順序としては、費用を先に考えるより「どの業務に使うか」を先に決めたほうが、比較ができるようになります。

この記事は、製造業で100人規模の会社を12年間経営した経験と、現在の中小企業向けAI導入支援の実務をもとに書いています。

「うちの場合はどこから手をつけるのか」と思われたら。

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