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「人手不足なら人を増やすしかない」が間違っている理由と、今の人数で注文を受ける方法

「案件があっても人手不足で受注ができない」。建設業の会社が、帝国データバンクの調査に寄せた声です。

人が採れれば受けられる。だから採用を急ぐ。

ですが、人が足りないなら人を増やすしかない、は正しくありません。毎日繰り返している同じ作業をAIに渡せば、今の人数のまま手が空き、その手で新しい注文を受けられます。

製造業の会社を経営してきた立場から、どの作業を、どう渡すと、どれだけ手が空くのかを書きます。

人手不足なら、人を増やすしかないのではありませんか

人を増やせば手は増えます。ただ、足りないと感じている手が、現場の作業ではなく、その周りの作業に取られていることがあります。

朝いちばんに届いた注文書を販売管理に打ち込む。昨日の日報を集計して、どの製品に何時間かかったかを出す。似た案件の見積書を探して、数字を直して送る。現場の写真を工事ごとに並べ直す。

どれも毎日同じ形で届き、同じ手順で片づける作業です。ここに、段取りのできる人、見積もりの分かる人の手が、毎日何時間も使われています。

人が足りないのではなく、手が同じ作業に取られています。そして、そうした作業の中には、いまはAIに渡せるものがあります。それを知らないままだと、打てる手は採用しか残りません。

人手不足は、どれくらいの会社で起きているのですか

日本商工会議所の調査では、人手不足と答えた企業は60.0%でした(出典:日本商工会議所・東京商工会議所「多様な人材の活躍等に関する調査」、2026年9月15日公表)。

冒頭の声は、帝国データバンクの調査に寄せられたものです(出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年1月)」)。建設業を中心に、仕事はあるのに人手が足りずに受けられない、という声が多く出ています。

では、会社はどう手を打っているのか。日本商工会議所の同じ調査で、人手不足と答えた会社に対策を複数選んでもらったところ、最も多かったのは「採用活動の強化」で、75.7%の会社が選んでいます。人が足りないなら、まず人を採る。多くの会社がそう考えています。

小さな会社では、もう一つの動きがあります。人手不足と答えた会社のうち従業員20人以下の会社では、事業の縮小・見直し・外注化で対応するという答えが31.6%ありました。20人以下の会社では、デジタルなどで手を空ける対策より、こちらを選ぶ会社のほうが多くなっています。

受けられる仕事があるのに、受ける手が無いから減らす。そうなる前に、打てる手があります。

人手不足のとき、誰がどの作業に何時間使っているか、言えますか

ここで、自社のことを1つだけ確かめてください。

毎朝の注文書の打ち込みは、いま誰が持っていますか。その人は、それに毎日何分使っていますか。

すぐには答えにくいはずです。答えられないのは、管理が甘いからではありません。この種の作業は、誰かが「ついでに」片づけているので、仕事として数えられていないのです。数えられていない作業は、減らす対象にもなりません。

人が足りないと感じている会社ほど、この数字が見えていません。見えていないので、足りない分はすべて「人の数」に見えます。誰が何を抱えているかを、忙しい人の時間を取らずに見えるようにする方法は、業務の見える化が途中で止まる理由に書きました。

自社のどの作業から手を空けるかを一緒に見る場合は、無料の相談で状況を伺います。

人手不足なのに、このまま人が採れるのを待つと、何が起きますか

今日も、受けられなかった注文があります。断った側には記録が残りません。断った注文は、帳簿のどこにも出てこないからです。

断られた取引先は、次から別の頼み先に声をかけます。一度そちらに流れた発注は、こちらの手が空いたときに戻ってくるとは限りません。取引先の担当者にとって、頼み先を戻す理由が無いからです。

採用が決まるまで待つ間に、受けられたはずの仕事が、少しずつ別の会社の実績になっていきます。

人手不足の対策は、人を増やす、外注する、残業で回す、では足りませんか

どれも、効く条件があります。

人を増やすのが効くのは、足りないのが現場の手そのもののときです。溶接や施工のように、その人がいなければ進まない作業は、人を採るしかありません。ただ、採った人も入社した日から、注文書の打ち込みや日報の集計を分けて持つことになります。周りの作業が同じ量のままなら、増えた手の一部は、また同じ作業に取られます。

外注や事業の縮小が効くのは、その仕事を手放してもよいときです。手放したくない仕事まで外に出すと、利益と一緒に、取引先との関係も外に出ていきます。

残業で回すのは、繁忙期を越えるための手です。毎日の作業を残業で回し続けると、疲れた人から辞めていき、足りない手がさらに減るおそれがあります。

どれも、手が同じ作業に取られているという元のところには触れていません。

人手不足のとき、毎日の繰り返し作業はAIにどう渡すのですか

繰り返しの作業とは、毎日同じ種類のものが届き、同じ手順で処理し、判断をほとんど含まない作業のことです。

こうした作業が人の手に残ってきたのには、理由があります。注文書はFAXで来たりPDFで来たりメールの本文に書かれていたりと、形がばらばらです。形がばらばらなものは、決まった手順で動く従来のシステムには読めません。だから人が読んで、打ち直すしかありませんでした。

AIは、この「読んで、並べて、下書きする」ところを引き受けられます。形がばらばらな注文書から品番・数量・納期を読み取り、登録の案を作る。手書きの日報を読んで、製品ごと・工程ごとに集計する。過去の見積書から似た案件を探して、下書きを作る。判断が要るところは人に残し、読む・写す・数えるところを渡します。

作業AIに渡すものAIが返すもの人に残る仕事
注文書の打ち込み(製造業)FAX・PDF・メールで届いた注文書品番・数量・納期を読み取った受注の登録案読み取り違いがないかを確かめて登録する
作業日報の集計(製造業)手書きやExcelの日報製品ごと・工程ごとの作業時間の集計表数字のおかしい行を確かめる
見積書の下書き(製造業)図面・仕様と、過去の見積書似た過去案件を並べた見積もりの下書き単価と納期を決める
工事日報と写真の整理(建設業)現場の日報と写真工事ごとの写真台帳と日報のまとめ抜けている写真がないかを確かめる
請求と出来高の照合(建設業)請求書と出来高の記録合わない箇所の一覧合わない理由を確かめる

どれだけ手が空くかは、架空の会社で考えます。従業員30人の金属加工の会社で、事務の担当者が注文書の打ち込みに毎日1時間半、日報の集計に1時間、工場長が見積もりの下書きに1件1時間を1日2件かけているとします。

AIが登録案を作れば、担当者に残るのは確かめる時間です。20分で済むなら、1時間10分が空きます。日報の集計も、おかしい行を見るだけなら15分で済み、45分が空きます。見積もりは、下書きが出ていれば工場長が単価と納期を決めるだけになり、1件20分なら1時間20分が空きます。合わせると、1日に3時間余りです。

これは見込みで、やる前に正確には分かりません。確かなのは、空く時間の上限が「今その作業に使っている時間」で決まることです。だから、先に数えるのはAIではなく、自社の作業のほうです。

注意も1つあります。AIの読み取りには間違いが混ざります。確かめる工程を省くと、間違った数量がそのまま出荷や請求に流れます。確かめる時間を見込みに入れているのはそのためで、ここは人の仕事として残します。

人手不足の会社が、空いた手で何を受けられるようになりますか

1日に3時間余り空けば、1週間で1人の2日分に近い手が戻ります。

その手を、いままで断っていた注文に回します。事務の担当者が打ち込みに追われなくなれば、問い合わせへの返事と納期の回答をその日のうちに返せます。工場長の手が見積もりの下書きから外れれば、返事を待たせていた見積もりを、その日のうちに出せます。

これまで「人が足りないから」と断っていた小さな追加注文や短納期の案件も、段取りを組む手があれば受けられます。空いた手は、新しい仕事を受けるための手です。

大変なのは、どの作業にどれだけ時間を使っているかを最初に数えることと、AIが返したものを確かめる工程を決めることです。難しくないのは、渡し始めることです。今の販売管理やExcelを入れ替える必要はありません。毎日いちばん時間を取っている繰り返しの作業を1つ選び、その書類をAIに渡して、読み取り・転記・集計の下書きを作らせるところから始められます。

人を増やすかどうかは、そのあとで決めても遅くありません。空いた手で受けた注文が増え、それでも現場の手が足りなくなったとき、採る人の役割ははっきりしています。

よくある疑問

Q. 人手不足の対策は、採用のほかに何がありますか

毎日繰り返している作業を人の手から外すことです。注文書の打ち込みや日報の集計のように、同じ形で届いて同じ手順で片づける作業は、AIに読み取りと下書きを渡せます。空いた手を、受けきれなかった注文に回せます。

Q. 人手不足の対策の事例はありますか

架空の例で答えます。従業員30人の金属加工の会社で、注文書の打ち込み・日報の集計・見積もりの下書きをAIに渡し、人は確かめる仕事だけにすると、1日に3時間余りが空く見込みです。実際にどれだけ空くかは、今その作業に使っている時間で決まります。

Q. AIに任せられる作業と任せられない作業は、どう分けますか

読む・写す・数える作業は任せられます。単価を決める、納期を約束する、取引先に何を断るかを決める、といった判断は人に残します。AIが返したものを確かめる工程も、人の仕事として残します。

Q. 現場の作業員が足りない場合でも効きますか

現場の作業そのものは、AIでは代わりになりません。ただ、現場の人も日報や写真の整理、書類づくりに手を取られています。そこを外すと、現場の人が現場の作業に使える時間が増えます。

Q. 新しいシステムを入れる必要はありますか

ありません。今使っている販売管理やExcel、届いている注文書のPDFやFAXをそのまま使います。毎日いちばん時間を取っている作業を1つ選び、その書類をAIに渡すところから始められます。

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